医学部
教育目標
医学部教育においては、幅広い教養、豊かな思考力と創造性を涵養し、豊かな人間性と高邁な倫理観に富む資質の高い人材、高度で専門的かつ総合的な医学的能力を身につけた人材、コミュニケーション能力及びリーダーシップを備えた協調性の高い人材、地域医療及び健康福祉の向上に寄与するとともに、国際的にも活躍できる人材を育成することを目標とする。
カリキュラムの概要
和歌山県立医科大学医学部は、知識に偏重した従来型の教育を脱却し、知識?技能?態度(倫理観)を総合的に育成できる教育を目指して成果基盤型教育を行っています。また、構造?機能、臓器別の横断的?総合的なカリキュラムを導入し、平成27年度には1~4年次にも患者に接する機会を増やすなど国際基準に適合し、臨床?研究能力の高い医師の育成が出来るようにカリキュラム改革を行いました。
改革の骨子は、1年次にはリベラルアーツ(教養教育)が中心となります。具体的には、医学部への準備教育や自然科学、社会人としての教養、医師としての倫理を学ぶ期間です。また、2年次、3年次には臨床の基礎となる基礎医学の領域を中心として学ぶとともに、基礎配属において研究に親しむ期間を設けております。3年次の後半から4年次には臨床医学の基礎的な内容を学び、共用試験に合格した学生はStudent Doctorとして臨床実習を開始します。臨床実習では期間を延長するとともに、より診療参加型実習を行います。臨床実習後OSCEを行い臨床技能の評価を行います。
また、患者の方々の心の痛みにも目を向け、社会的な支援システムなども理解し、地域医療にも早期から慣れ親しむためのケアマインド、地域医療マインド育成にも力を入れており、1年次より早期臨床体験実習や地域福祉施設体験実習を行い、2年次には保育園実習?障害者福祉施設実習などを行っています。さらに、臨床技能をシミュレーターを用いて磨き、より実践的な技能を身に付けられるよう臨床技能研修センターも併設しています。
平成25年度からは、大学院博士課程の一部を履修できる「大学院準備課程」を開始しました。これにより、医学部在学中に研究の基礎を学ぶことができるほか、大学院履修期間の短縮も可能となります。
これらの取り組みを通じて、本学では総合的?専門的な基礎?臨床能力を高めるとともに医師としての倫理観、人間性の涵養を図り、地域医療に貢献し、国際的にも活躍できる全人的医学教育を目指しています。
アドミッションポリシー(入学者受入れの方針)
【求める人物像】
和歌山県立医科大学医学部では大学の理念に基づき次のような人を求めています。
- 科学的探求心と豊かな人間性?高邁な倫理観を有する人
医学を志す人には、旺盛な科学的探求心とともに豊かな人間性、高い倫理観が必要です。人としての豊かな感性、人間性を有し、ボランティア活動などを通じて社会との深い係わりがあるとともに、高い倫理観を有する人を求めます。 - 医学を修得するための幅広い能力を有する人
医学の修得には、自然科学のほか人文?社会科学に関する学問の修得が必要です。自然および人間?社会についての幅広い知識と向学心、自分自身で問題を解決できる能力を持った人を求めます。 - コミュニケーション能力及びリーダーシップを備えた協調性の高い人
医師には医学的知識とともに患者および家族、職場の同僚と十分コミュニケーションできる能力(情報の共有と良好な患者?医師関係が築ける能力)が必要です。医療人として自己研鑽ができ、自己の理念を持っているとともに協調性に優れ、リーダーシップを発揮できる人を求めます。 - 地域医療に関心があり、国際的視野を有する人
本学は県民の医療を支えるとともに、国際的にも活躍できる医師を育成します。地域医療に関心があるとともに、国際社会でも活躍できるための能力を高め、積極的に地域社会および国際社会に貢献できる人を求めます。
【入学者選抜の基本方針】
- 学校推薦型選抜
学業のみならず、課外活動等において特に優れた成績あるいは実績を有する者で、医学?医療に貢献したいという強い意欲があり、人格的に特に優れた学生を求めています。
大学入学共通テスト、高等学校長の推薦書、調査書、自己推薦書及び面接試験を課し、本学医学部のディプロマポリシー及びカリキュラムポリシーを踏まえ、入学者に求める能力?適正を「学力の3要素」と関連付け、多面的?総合的な評価による選抜を実施します。 - 一般選抜(前期日程)
高い学力を有する者で、医学?医療に貢献したいという強い意欲があり、人格的に特に優れた学生を求めています。
大学入学共通テスト、個別学力検査及び面接試験を課し、本学医学部のディプロマポリシー及びカリキュラムポリシーを踏まえ、入学者に求める能力?適正やその評価方法を「学力の3要素」と関連付け、多面的?総合的な評価による選抜を実施します。
カリキュラムポリシー(教育課程の編成方針)
1.教育課程編成
ディプロマ?ポリシーに掲げる知識と能力を修得するために、教養、基礎医学、臨床医学に関する体系的で組織的な教育を提供します。知識に偏重した旧来型の教育ではなく、学修成果基盤型教育を行います。
2.教育内容?方法
- 1年次は教養教育が中心となります。医学への準備教育や自然科学、人文?社会科学および外国語に関する知識、医師としての倫理を学びます。また、入学後早い時期に医療の現場を体験する早期臨床体験実習や、3学部合同で患者の生の声を聞き、学生同士で意見交換し、その内容を発表するケアマインド教育などで、能動的学習やコミュニケーション能力の獲得を目指します。
- 1年次後半から臨床の基礎となる基礎医学の領域を中心として学びます。肉眼解剖から遺伝子レベルに至る人体の構造と機能を学び、さらに病気の病態、病因、薬物の作用、および社会と疾病の関わりについても学びます。
- 3年次に行う基礎配属では、自分の興味のあるテーマを選び、基礎医学講座(社会医学系講座を含む)?先端医学研究所研究部?共同利用施設?人体病理学講座の研究室で実際の研究に触れます。大学院準備課程(M.D.-Ph.Dコース)で自身の研究を継続することもできます。
- 3年次後半から4年次終了まで学ぶ臨床医学では基礎医学?社会医学との連携を図り、臓器別に疾患の概念、診察、検査、診断、治療の基本を系統的講義で学びます。少人数グループにわかれ、症例シナリオを用いる問題基盤型学習も含まれます。
- 共用試験に合格した学生は Student Doctorとして5年次から臨床実習を行います。臨床実習では、すべての科を網羅的に実習するとともに長期間の診療参加型実習を学内外で行い、臨床推論能力を含めた実践的な臨床能力の獲得を目指します。
- 地域実習および国際交流を積極的に行い、広い視野を養い、地域社会および国際社会で活躍できる資質を習得する教育を行います。
3.学修成果の評価方法
シラバスに記載された学修目標について、授業中の小テストや発表、レポート、筆記試験、実技試験などの多面的な評価方法により、それぞれの到達状況を客観的に評価します。4年次、6年次に行われる医療系大学間共用試験実施評価機構によるCBT(Computer Based Testing)、Pre-CC OSCE(Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination)、Post-CC OSCEなどの試験も評価に含めます。
ディプロマポリシー(学位授与方針)
和歌山県立医科大学医学部は次の能力を獲得した者に医学士の学位を授与します。
- 命を扱う職業である医師として、より高い倫理観、社会人としての良識を備えているもの
- 総合的、専門的医学知識とともに医学研究や臨床研修を行うに足る技能を有しているもの
- 単に知識、技能を獲得しているのみではなく、それらを統合的に活用でき、患者の社会的、心理的背景にも配慮することができるもの
- 国際的視野を有し、地域での医療ができるもの
授業科目
教養教育
教養教育科目の授業は、1~2年前期にかけて行われます。人としての幅広い見識と、専門医学への準備としての基礎知識を身につけることを目的としています。
また、入学後早い時期に医療の現場を体験する「Early Exposure 早期臨床体験実習」を実施し、医学及び医療に対する関心を高め、これからの医学を学ぶにあたっての問題意識を深めるカリキュラムがあります。
基礎医学
基礎医学科目の授業は2~3年にかけて行われます。「基礎医学」は医学の原点であり、臨床医学と表裏一体をなすものです。肉眼解剖から遺伝子レベルに至る人体の構造と機能を学び、さらに病気の病態、病因、薬物の作用、および社会と疾病の関わりについても学びます。
また、最後の2ヶ月間は各講座に少人数で配属され、自分の興味のあるテーマを選び、基礎医学の研究室で実際の研究に触れる機会があります。
臨床医学
臨床医学科目は3年目後半から始まり、病気の診断、治療、予防について学びます。臨床実習は4年目後半~6年目前半にかけて、少人数に分かれて行われます。
医療の現場を体験しながら、良き医師としての態度や知識?技術を身につける場であり、教科書からは得がたいものを自ら学びとります。講義には、臓器別に疾患をとらえた系統的講義と各科の特徴をふまえた講義があり、臨床医学を総合的に理解するための工夫が凝らされています。
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