医学部長挨拶

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本学で医師を志す皆さんに期待を込めて

 病によって深い苦しみの中におられる方々に手を差しのべ、疾患の克服と苦痛の緩和に全力を尽くして懸命に取り組む医師を育成することこそが、私たち和歌山県立医科大学医学部の使命です。創立以来75年以上にわたり、本学は多数の優れた医師?研究者を輩出し、人々の健康と医学の発展に貢献してきました。

 この間にも医学は飛躍的に進歩し、以前はまったく分からなかった病気の原因や病態が次々と明らかになり、分子レベルでの治療も可能となってきました。しかし一方で、原因がいまだにわからず、治療のすべがまったくない病気も数多く存在しています。このような患者さんに対して現在の医学は無力ですが、それでも私たちはその苦痛を少しでも和らげるため、多職種のメディカルスタッフと力を合わせ、医療と看護、介護を通じて誠心誠意患者さんと向き合わねばなりません。

 これらのことから、医学部6年間で身につけなければならないことがいくつかあることがわかります。まず、患者さんを正確に診断し適切に治療するためには、正しい医学知識と確かな診療技能を身につけることが必要です。しかし診断は必ずしも簡単につくとは限りませんし、治療もすぐに効果が出ない場合もあり、合併症や副作用で病態が複雑になることもまれではありません。そうした場合でも、問題点を整理し、粘り強く解決していく問題対応能力が必要です。良好な患者医師関係を築き、チーム医療を実践し、医療の安全を確保するためには、適切なコミュニケーション能力が求められます。2021年、医療系総合大学となった本学は、医学部学生にとって、今後ますます進む超高齢社会における医療に必要な多職種連携を学ぶ絶好の環境が整ったといえます。

 医学を学び、医師としての経験を積んでいくうちに、現在の医学の限界を痛感する時が来ます。現状に甘んじたりあきらめたりせず、そうしたときこそ科学的探究心を持って、病態解明や新たな治療法開発の研究に力を注いでほしいと思います。これこそが本学開学の理念のひとつである華岡青洲の「活物窮理」そのものであり、本学の初代学長、古武彌四郎先生のおことばに通じる精神です。医学は常に進歩します。これから医師となろうとする皆さんは、常に患者さんに最新の医療を提供するため、生涯にわたって学び続ける姿勢を忘れてはなりません。

 このように、日々の努力と研鑽によって身につけた知識や技術も、使い方を誤れば危険な凶器となります。これらをどのように用いるかを決めるのが、医師にとって最も重要な「倫理観」です。医師は、高度な専門性とともに公益性や道徳性が強く求められるプロフェッションです。患者さんのために自分はどう決断し、どう行動すべきか、最善の判断を下すための高邁な倫理観が培われるよう、高い志を持って人間性を磨き、自らを高めていただきたいと思います。私たち和歌山県立医科大学医学部の教職員は、そのような皆さんを全力で支援します。

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和歌山県立医科大学
医学部長
伊東 秀文

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