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6. ロコモティブシンドローム?サルコペニア
厚生労働省の統計によると、日本の平均寿命は2018年時点で女性87.32歳、男性が81.25歳と年々延びています。同様に日常生活に介助を必要とせず自立して暮らすことができる年齢を指す健康寿命も、2016年時点で女性は74.79歳、男性は72.14歳と年々延びています。しかし、平均寿命と健康寿命には大きな差があります。寿命が延びているのに自立して生活することができない状態、これは寝たきりや介助が必要な状態である高齢者が増加していることを意味します。高齢社会になりつつある日本においてこれは大きな問題であり、平均寿命が延びている分だけ健康寿命を長く保つことが重要といえます。
加齢に伴って起こる身体の変化は様々なものがあります。中でも筋力が落ちる、筋肉量が減少する、腰が曲がる、身長が縮む、関節の痛みが出る、軽い運動でも息切れを起こすなどの症状によりADLやQOLを低下させる原因となるものとして、ロコモティブシンドロームやサルコペニアという概念が近年注目されています。
ロコモティブシンドローム
運動器の障害のために「立つ」「歩く」といった移動能力が低下した状態を指します。運動器とは骨や関節、筋肉、神経など身体を動かすために用いる器官の総称であり、これらが障害されると痛みや関節可動域制限、筋力低下、感覚障害などが生じ、結果的に閉じこもりや寝たきりの原因になったり、転倒の危険性を高めることになります。
サルコペニア
筋肉量の減少、筋力の低下、身体機能の低下がみられる状態を指します。サルコペニアは加齢に伴う一次性サルコペニアと、活動不足?栄養不良?疾患などによって生じる二次性サルコペニアに分けられます。さらに、サルコペニアは生活習慣病(糖尿病や肥満)や骨粗鬆症などの疾患と併存していることが多いとの報告もあります。ロコモティブシンドロームと同様に寝たきりや転倒、骨折の危険性を高める原因となります。
6.1 当院における運動療法、リハビリプログラム
当院では脊椎疾患や関節疾患の手術の前後でリハビリテーション科に紹介し運動療法やプログラムを処方しています。特に術後に早期離床を図ることで、活動不足による筋力の低下を予防し早期に自宅退院を目指すことができます。ロコモティブシンドロームやサルコペニアの治療には積極的な栄養管理と運動療法が重要です。運動療法を行うことにより低下した身体機能を改善し、転倒や寝たきり?閉じこもりの予防につながります。運動量の多い激しい筋力トレーニングや有酸素運動が必要なわけではなく、自分に合った適切な量の運動を継続することで身体機能を維持?向上することができます。
当院のリハビリプログラムでは、各療法士が患者さんの身体機能レベルに合った運動療法を処方し運動習慣をつけていただけるよう努めています。「自分もロコモティブシンドロームやサルコペニアかもしれない」「どんな運動をしたらいいのかわからない」と少しでも思われたら当院へご来院、ご相談ください。